雑音日和

教祖になるのが夢です。

絵を描ける人は本当に尊敬する。

 私がもし、「すごいと思うのはどんな人か」ランキングを作ったとすれば、1位に入りそうなのは「絵が描ける人」だ。絵画もスケッチも漫画も落書きも全部含む絵全般について言っているが、そういう人が描いたものをよく見ていると、明らかに見えている世界が違うことを実感してしまう。

 

 例えば風景の隅に描かれている植物について考えてみよう。花の構造、葉の形や色合い、茎の質感などを、よく観察して理解していないと描けない。こんなものがこんなふうに描かれている…!と実感するごとに、私は描いた人の内側の深さに畏怖の念を抱かずにはいられない。

 

 いろいろなものをじっくり観察する機会をもとうと思いたって、私はこのごろスケッチブックを持ち歩くようにしている。そして気になったものがあればシャーペンを出して写しとってみる。

 

 世界を縁取っていくのがなかなか思った通りにいかず、一呼吸置いたあとに絵の中を現実と見比べてみると大きな歪みがあることに気づく。そして、日常の中では世界をなんとな〜く見ているだけであって、正確かつ緻密にはいろいろなモノをとらえていないのではないかな、と。

 

 「今話しているあなたからはどんな世界が見えているのだろう。」と思うことがある。カメラのレンズにも性能がさまざまあるような感じで、人が見ている世界も情報の切り取られ方が違うのだろう。子どもの描いた絵に惹かれるのは、心の、根本的なところが見て取れるからだ。

 

 きっと私はピンぼけレンズを持っているのだと思う。だから大まかな形や印象で世界を捉えている。細部はさほど見えていない。別にピンぼけ写真はInstagramでも高く評価されているし、それが悪いことだとは思っていないのだが。

 

 長い長い時間をかけて、いろいろな人が見ている世界がどんな姿をしているのか、私は知りたいと思う。